感染する?しない?

The Inada-Lange Foundation for AIDS Research

感染する?しない?

HIV(ウイルス)は、HIVを持っている人の血液、膣分泌液、精液、唾液、涙、汗、便などにいます。これらに触れると感染するか、というと、決してそうではありません。HIVは血管の中に入り込まない限り感染しません。血管の中に入り込むのは、

  1. 血管に直接注入される(輸血や麻薬の回し打ち)。
  2. 粘膜に長時間接触することにより粘膜を通過し、その内側の血管に入り込む。

という経路しかありません。人間の体には、粘膜と呼ばれる部分がたくさんありますが、HIVについて考える場合、それは、口の中や喉、尿道、膣内、子宮内、肛門、直腸などです。
HIVを持っている人の血液が手に付いたとしても、HIVは、粘膜ではない手の皮膚を通過することはできません。HIVを持っている人と握手をしても、同じ便座に座っても、感染することはありません。それではキスはどうでしょう。唾液と、口の中や喉の粘膜が接触する可能性があります。しかし、キスだけで感染した人はいないようです。これは、自分の唾液で洗い流されるなどして、粘膜を通過するほど長時間接触しないためです。

HIV感染の可能性がある具体的な状況・状態・行為は、次のとおりです。

  1. 輸血
  2. 注射針の共有(麻薬の回し打ちなど)
  3. 母子感染
  4. セックス(異性間・同性間)

このうち上3つに関しては、現実に存在することではありますが、日本における日常生活という観点から見ると、やや特別な事情に分類できます。私たちの日常生活の中にあるのはセックスによる感染です。しかしこれは、私たちの心がけ次第で充分に予防できるのです。

ここまでは「HIVはそう簡単に感染しない」という内容でしたが、実はHIVは感染します。矛盾しているように感じるかもしれませんが、どちらも事実です。感染するようなことをすれば感染する可能性がとても高い、ということです。感染するようなこと、とは、無防備なセックスのことです。

次のいずれかに該当する人は、HIVに感染していない、と胸を張って言えます。

ひとつも該当しない人は、HIVに感染していない、と断言することができません。ぜひHIV抗体検査(エイズ検査)を受けましょう。

HIV抗体検査(エイズ検査)は、HIVそのものの存在を調べるのではなく、HIVに対する「抗体」の存在を調べることにより、HIVに感染しているかどうかを判断します。抗体とは、入り込んできたウイルスに対抗するために体内で作られる蛋白質です。HIVの場合は、個人差がありますが、感染から6週間から12週間経過しないと抗体ができません。つまり、万一感染していたとしても、感染から12週間(約3ヶ月)以内の検査では、正しい結果が得られない場合があります。検査を受ける際は、このことを覚えておきましょう。