HIV感染とAIDSの違い

The Inada-Lange Foundation for AIDS Research

HIV感染とAIDSの違い

HIV感染とAIDSの違いを認識することが、エイズを理解する最大の近道です。
HIVはいわゆるエイズを起こすウイルスで、無防備な性交渉や麻薬注射の回し打ちや輸血で感染します。しかし、HIVに感染したからすぐにエイズになるわけではなく、HIVはまずCD4というマーカーを持つリンパ球に感染します。このHIVとリンパ球がせめぎ合っているのが約10年。その間は感染初期の2週間くらい(風邪症状やリンパ節の腫れ)以外は一般的に症状がありません。

やがてCD4というリンパ球がウイルスとの戦いに敗れ数が減ってくると、リンパ球本来の仕事、すなわち外敵(ウイルスや細菌、カビなど)から身を守ることが出来なくなり、多くの感染症や腫瘍を引き起こすのです。実はこの段階になって初めてエイズと言うわけです。

日本を始め先進国では、抗HIV薬の発達普及のおかげで、HIVに感染しても、ウイルス量を抑えることが(消滅させるわけではありません)出来るようになってきたので、エイズとして発症する人がずいぶん減ってきました。しかし、アフリカを始め低開発国では貧困により治療が出来ないため、感染者はいずれエイズを発症することは避けられないのです。

困ったことに我が国ではHIVに感染したことに気付かない人々が増えてきており(特に異性間感染者)、10年くらいしてからいきなりエイズを発症して病院を訪れることになるのです。